7人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
「動くなって。いま描いてるお前の顔が台無しになるだろ」
「私が少し動いたくらいで、変わらないでしょ」
「あーほら! 顔に傷ついたじゃんかよ!」
「それは浅原が喋りながら描いてるせいでしょう」
浅原が消しゴムでスケッチブックを擦っている間に、私が美術室の窓の方に顔を向けると……もう日が暮れ始めていて、空が淡いオレンジ色にぷっくりと染まり始めている。
窓に映る私の頬にも少し色が灯っている気がしたけど、それはきっと勘違いというやつだ。
最初のコメントを投稿しよう!