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「別にいいよ。暇だし」
「よっしゃ! じゃあ決まりだな。後悔はさせねーからな」
「じゃ、帰りにデザート奢ってよ。勿論、明日もね」
「げっ」
私は欲張りなんだ。
だから、うん。これは仕方ない。
狼狽えた浅原が私の腕から手を離して、ポケットの財布の中身を確認している。
浅原は本当に仕方ない奴だ。
仕方ない。仕方ない。
私は夕焼けに染まる窓の外を見てみる。窓ガラスに映る私は右腕を擦っていて、口角は少し上がっていた。
窓ガラスに描写された私の表情を浅原に見られたらきっと死にたくなるぐらい恥ずかしい思いをすることになる。
だから、私はカーテンを引っ張って淡いオレンジ色に染まる透明な世界の全てを閉ざすことにした。
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