おでん屋さん

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「申し訳ございません、餅巾着はございません」 「んー、はんぺん」 「黒と、白がございますが」 「いわしのほう」 「承知しました」  ビールというのを忘れていたけれど、別にそれほど飲みたいわけでもなかったので黙っておっちゃんの手を見ていた。  はんぺんをとって、コンニャクをとって、大根をとって玉子をとってくれた。何かを忘れている気がするけれど、それが何だったのか忘れた。  少し深めの皿に、黒はんぺんとコンニャクと大根と玉子が並べられ、少し出汁をいれてくれた。テーブルの前には、、、、、。テーブルじゃない、最近、単語が出てこない。なんだっけ、こういうの、座敷でもなく、あがりかまちでもなく、一人前用の席で、こういう形をしたものの名前、、、、。まあいいや、と僕は諦めた。テーブルの前には辛子と青のりと爪楊枝が置いてあった。コンビニに置いてある柚子こしょうはなかった。
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