親ガチャ、リセット

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親ガチャ、リセット

 どうして安楽死制度が必要になるのか。  さっくり言ってしまえば、自殺や死にたい人が多いから。私自身も含めて。  もちろん安楽死を認めることで新たに生じるだろう問題も考えて行かなければなりませんが、今回はどうして自殺や死にたい人が多いのかを少し考えてみようと思います。  ただし、それを真面目にやろうとするならば厚生労働省辺りがやれば良い訳ですから、私は私で逆に公的機関が良い難そうなことを個人の立場で率直に述べようと思います。  前にも少し触れたとおり、私は若者が「原因不明」で自殺するケースが増加傾向にあることを気にしています。  多くの場合、自殺の根底にあるものは「絶望」だと思います。生活苦、病気や障害、いじめ……理由は様々であれ、苦しい状況がもたらす絶望です。  私のように「飽きた」人は、単に楽に死にたいだけで自殺したい訳ではありません。  では、「原因不明」とは……? 考えたりしても解らないから原因不明な訳です。  恐らく想像も及ばないような理由なのでしょう。  例えば「彼氏・彼女にフラれて自殺」もあながち間違いではないかも知れません。  普通の人ならそんな理由で自殺するか? と思うような理由で、だがしかし当本人にとっては自殺に至る程深刻な問題であった場合、周囲から理解されない自殺=原因不明となるのではないかと思います。  もしそうだとすれば、周囲から見れば軽い気持ちで自殺してしまっている訳です。  極端に言ってしまえば、若者は親ガチャリセットしてるんじゃないですかー? とか、異世界転生を狙ってるんじゃないですかー? とか、そんな風に考えてしまう訳です。  流石にそんな不謹慎なことを厚生労働省辺りが切り出す訳には行きませんので、私は私で、そんなフザけたような考え方でも否定せずに真面目に捉えて行きたいと考えています。  さて、普通の方は親ガチャ? 異世界転生? なんのこっちゃとなるでしょう。  私自身もそんなに詳しくありませんが、大体どういった意味かくらいは解ります。  異世界転生はともかく、親ガチャの方は真面目に考えて見ましょう。  「ガチャ」とは、元々はコインを入れてレバーを回すと箱の中から様々な玩具等が入ったカプセルが出てくる商材、ガチャガチャのことを意味していたと思います。ただ、今の時代はスマホのゲーム等において、ゲーム内のアイテムやキャラクターをランダムで入手するための仕組みとして使用されることが多いように思います。  そのガチャによって入手できるアイテム等は運によって左右され、ゲームを有利に進めることができるような強力な効果をもったものの排出確率は低く設定される等、課金を促すような仕組みとなっているものが多いようです。  ガチャ、とは運によって左右され、自ら選べないものを意味すると言っても過言では無いかと思われます。  そう考えると親ガチャの意味も解ってきます。  「子供は親を選べない」です。  「貧困の連鎖」という言葉があるように、親ガチャに失敗した子供は親の貧困の連鎖反応を受けるように貧困した大人になる確率が高くなる傾向があるようです。  福沢諭吉曰く「天は人の上に人を(以下略」とあり、この言葉には続きがある等と前置いて後天的に学問のすすめをする訳ですが、残念ですが生まれた時点で上下ハッキリ分けられて見えてしまうのが現実なのですね。  それを知って、自分の将来に絶望してしまう若者がいても無理はないと思えます。本人の意思や努力に関わらず底辺のレールを敷かれていれば死にたくもなります。  ただ、例えばそれで痛く苦しい思いをして自殺をしたのに「原因不明」なんて言葉で片付けてしまったなら、その若者はあまりにも報われなさ過ぎると思いませんか。  その自殺した若者は何か悪いことをしたのですか? そう言いたくもなる扱いです。  しかし、今のありかたから考えると、その若者が悪くなりそうな気がしてなりません。  「生きていかなければならない」 「死んではいけない」  この命の価値観を、自殺という形で若者が破った時点で、悪いことをした扱いになりそうな気がしてならないのです。  さて、恐らく全てを書かなくても私が言いたいことは察していただけるかと思います。  私の目的は自殺の防止ではなく、安楽死制度の設立です。ただし、安楽死制度を設立することで痛み苦しみに耐えて自殺する人を救えるかも知れないという観点から、自殺についての考えも深めるべきと触れてきました。  そしてどうやら、この辺りの「命の価値観」は安楽死を認める認めないを考えるにあたっても、重要な意味を持ってくると言えそうです。  前回、「命の過大評価」 「死がタブー」とお話しました。  今回も同様です。  この辺りの価値観が変化してこない限り、なかなかに安楽死が認められる世の中には変わってこないのでは無いかと思います。  ただ、その変化の兆しが「原因不明」の自殺の増加傾向であるとも考えています。  従来の命の価値観にとらわれない、原因不明とされる自殺が何故増えているのか、その本質を良く考え、「生きろ」と救済の名を借りた鞭を打つのではなく、今こそ「楽になっても良いんだよ」と考え方を変えていく。  そういう時代になりかかっているのかも知れません。
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