夜の帳が下りる頃

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 長谷川さんの手がガチガチに緊張している俺の手を包んで、耳朶を食むと変な声が漏れてしまい口を噤んだ。  クスッと笑うその吐息さえにも力が抜けて、包まれていた手は反応を始めた俺のモノに移る。 「あ……やっ」 「大丈夫、触られるの涼一も好きなんだよ。触るのも好きだけどね」  長谷川さんは知らなかったんだ。  俺が涼義兄さんにどんな想いを向けているのかを。  そんな台詞を聞くと堪らなく悲しくなって、でも初めて経験する直接的な刺激に若い体は簡単に絆されていく。  硬くなるソコを何度も擦られ、長谷川さんが耳から首筋へとキスを繰り返してズボンへと移っていく。  もうその時には呼吸も荒く、酷い熱に冒されたみたいに頭がボーッとしてた。 「今、舐めてあげるから」  その言葉だけで達してしまいそうだった。まだ中二、好奇心旺盛で溢れるエネルギーをどう対処すればいいのか分からなかったくらいなんだから。  トランクスから出された勃起したモノを握られ、腰が勝手に動いて刺激を欲する。でも頭の中では分かってた。いけないことだって。 「もうヌルヌルしてる……」 「あぁ…」 「ふふ、可愛い声」    先端から溢れ落ちる雫を撫で付けながら指先で弄られて、それだけで体がビクビクとして喉が鳴る。  エアコンが室内温度を感知して冷たい風に包まれても、体の奥底から燃え上がるような熱さが全身に広がる。 「可愛いよ、凄く可愛い」  長谷川さんは妖艶に笑い、俺は首を振って泣きそうな顔で見下ろしてた。目を合わせたまま彼の舌がヌッと出て溢れる雫の割れ目をツンと刺激する。   「んぁっ……」  赤い舌に自分の体液が付くその卑猥さが痛いくらいにソコに血を注ぎ込む。この人は涼義兄さんの恋人なんだって思ったのに逃げられない。  突然全身が生温かい粘膜に包み込まれたみたいになって、驚いて目を開ければ長谷川さんの可愛らしい口の中に自分のモノが呑み込まれてた。 「やっ、……まっ……てぇ」  目から伝わる情報を遮断しても卑猥な光景が頭から離れなかった。あまりの気持ち良さに否定してても浅ましくも続けて欲しいとさえ。初めて感じる快感に抗うことなんて出来なくて、頭も視界も真っ白になる。 「やだ……出ちゃっ、やめて」  じゅるりと音を立てながら口内の奥まで吸われてしまえば一溜りもない。初めての口淫に鳥肌が立って腰がグンと跳ねる。 「あぁっ、うっ!!」  どろりとした欲望が弾けて体が弛緩する。自分の手以外で爆ぜた事に呆然として、現実と快楽の狭間で意識は揺れ動いてた。
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