夜の帳が下りる頃

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 ちゅぷりと音を立てて離れた義兄のくちびるを薄目で見てて、甘い快感の中でうっとりした表情を浮かべてた。  寂しいとか辛いとか今はどうでも良くて、これが最後なら深く刻んでもらおうと。  霞んだ視界の中で瞳を覗き込めば、切れ長の目に一瞬の躊躇いが映った気がする。 「涼義兄ちゃん、もっと」  だから、自分からまた重ねて深い口付けを交わすと不安なのに体が熱くなる。そこから溶けてひとつになるみたいに、もう何にも考えられなくなる。 「んん……」  吸われて絡められ、動く舌が翻弄してくる。義兄の手が頬から首筋へと落ちて濡れた肩を辿りながら服を捲り背中へと回った。  やけに熱い手が冷えた肌を温めてくる。顔は自分でも分かるくらい真っ赤なのに、自分の体がこんなに冷えているとは思ってなくて。  くちびるから耳元へ移るキスはくすぐったくもあって、自分意外の唾液が付いた口元は思わず綻んだ。 「くすぐったい?」 「あっ……」  でも次の瞬間またそれは甘いものになる。  耳に直接吹き込まれる義兄の声は凄く艶めいていて、それだけでゾクッとした痺れが、囁かれた耳と脇腹に走っていく。 「和希」  義兄から甘い声で自分の名前を呼ばれて思わずギュッて抱きつく。背中を撫でていた手が胸へと移り、小さな突起を掠めて下へと落ちていった。  既に硬くなっている自分のモノに触れ、このままじゃ前と同じで出されるだけかもしれないと焦った。  すぐに手を掴んで制止させようと思っても、涼義兄さんの手だというだけで体は震えるほど悦ぶ。 「ちゃんと……してくれるの?」  自分の声じゃないみたいな甘ったるい問いかけに、涼義兄さんは首筋を舐め上げて耳に近付く。 「痛いぞ、和希……優しくしない」  あの日と同じ言葉が吐息と共に囁かれ、ベルトを外されて剥き出しにされると、義兄の体に跨るように床に膝を付いて座る。  義兄の手は俺のモノを撫でながら追い詰めてくるのに、背中を撫でていた手はそのまま腰をなぞりお尻へと近付いていった。 「怖くない?」  本当は少し怖いと思った。経験したと言えば長谷川さんから無理やりされたあの一度。 「怖く、ない」 「痛いのに?」 「……怖くない」 「優しくしないのに?」 「怖くない」  フッと笑う義兄は左手でモノの先端を弄り、快感に腰が浮くとまたくちびるを重ねてくる。ねっとりしたキスは少しずつ呼吸を奪っていくような力強いものになって、お尻を撫でていた指先が後孔を軽く掠めた。  
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