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自分の白濁の青臭い匂いが充満している気がして恥ずかしくなった。でもまだ硬いままの義兄は関係なく揺らしてきて手で顔を覆い隠す。まだ中にいる、それだけで嬉しいのに体はキツいし、陥落した顔を間近で見られたことで羞恥も襲ってくる。
「顔、見せろって」
「だって、恥ずかしい」
「何を言ってんだよ、今更」
手首を掴まれて床に押し付けられ、涼義兄さんと目が合う。
「和希、綺麗だよ」
「ーーッ、男に……綺麗なんて普通言わない」
「照れてる」
「うるさいな」
微笑む義兄の表情を見ていると、こんなことをしているのに仲良しな兄弟みたいだ。会話だってそうだし、本当はこういう冗談めいた会話を兄弟ってもっとするんじゃないかって。
「昔から和希は綺麗だったよ」
「涼義兄ちゃんはずっと格好よかった。……ずっと、ずっと」
込み上げてくる涙を飲み込んでも、義兄には全部見えている。
「無視してごめんなさい」
「いいよ」
「チェスだって勝たせてもらってたのに、生意気な事ばかり言って」
「おい、いつの話だよ」
「好きだったんだ。ずっと好きで、どうしたらいいか分からなくて」
「和希」
「家族にならなきゃ……」
家族になんて、ならなきゃ良かった。好きになったって言ってもらえたかもしれない。
結局はそこから始まってしまう。あの日も雨が降っていて、初めて会った日からずっと特別な日が続き過ぎた。家族にもなれない弟にもなれない、中途半端な場所でずっと揺れて卑屈になってる自分を義兄に助けて欲しかった。
「俺もそう思ってた」
「……え?」
「家族じゃなきゃ、もっと違ってたんだろうなって」
繋がったままの体が伝えてくる。家族じゃなきゃこの行為だってもっと甘いものだったに違いない。心も体も許しあえて、泣いて抱かれるなんてことはなかったに違いない。
禁忌の扉が、少しだけ開いた瞬間だった。
「和希……俺を見たい?」
義兄はその一言を吐き出し、俺が頷くと冷たい表情になる。
いつか見た知らない義兄の表情と同じ、優しい人なんかじゃなくて、ましてやチェスで勝たせるお人好しな人にも見えない、欲を隠そうともしてない力強さがあった。
「此処に来たこと、一生後悔させてやる」
「ひぅっ!!アッ!!」
ガクンと視界が揺れて抽挿が突然始まる。労わりのない動きに喉を鳴らし、慣れない体が突き放されてはまた深くまで挿入される。
広がりきった後孔は焼けるように熱いのに、これが義兄の、涼一さんの行為なんだと思えば嬉しい以外の気持ちなんかなかった。
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