夢幻ループ

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 しっかりとロープを結び、自分の体重に耐えられる様にする。そして、百均で買った安い踏み台に乗りロープを首に掛けた。踏み台を蹴って足を宙に浮かせる。次第に意識が遠のく。フラッシュバックする過去の記憶。走馬灯……これが走馬灯なのか。  ああ、そうだった。小さい頃、幾度となくこの苦しさを味わった。親にのしかかられて首を絞められ、大き過ぎる体格差から、なすすべ無くされるがままでいた。結果的に、死ぬ前に解放されたから今……けど、あの時に死ねて、いたら…… 「◯◯さん」  遠くで声が聞こえる。いや、遠くと言うよりは、水中で聞く外の音に似ている。聞こえている筈だが、聞こえているのかはっきりしない。
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