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「美味しい……いつも気になってたんだよねー、この麻婆丼」
「……結構人気なのか? アプリでは上位にランクインされている」
「そうだね、よく配達をお願いされるよ。担当の人に聞いたら調味料を変えたらさらに美味しくなったらしいよ」
一護はニコニコしながら寧人を見ている。寧人はその視線に目を逸らす。
久しぶりにさっぱりした寧人。髭の剃り残しも剃ってもらい眉毛まで整えてもらった。もみあげもすっきりしている。
「本当はねバリカンあったらよかったけど……明日持ってきて後ろやってあげる」
「いや、いいよ。君の美容院行って剃りに行く」
「ううん、だめ」
「いいよ」
「だーめ」
次第に距離が近くなる一護を避けて寧人は麻婆丼を口にかきこみお茶で飲み込んだ。
やはり人との距離感にはある程度間を開けたいようだ。
「あと一仕事したい。僕はソファーで寝るから君はベッドで先に寝てくれ」
「はぁい。まずはこれ片付けておくから」
すこし一護は寂しそうな顔をしている。
「じゃあお風呂借ります」
「どうぞ」
寧人は素っ気ない。腹を満たしたからか、もう仕事モード。ガソリン満タンにした車のようだ。デスクについた途端作業を始めた。
が、とあることに気付いた。
「そういえば……」
一護は一人麻婆丼を食べ終えて容器をゴミに捨ててからお風呂に入った。
「寧人ったら……コミュ障相当こじらせてるわー」
とため息と同時に不満が出る一護。
「にしても髪切ったら意外とイケメンだし、 あそこもデカかった、ふふふ」
寧人の大きさ、形を思い浮かべている。
◆◆◆
「お風呂出たよ」
「おう」
まだパソコンに向かって仕事をしている寧人。
「寧人、ありがとう」
「何が?」
「寝巻きとパンツ」
一護はお風呂あがりに脱衣所にTシャツと下着が置いてあることに気付いたのだ。
ネネは特に荷物もなく来たわけでそのままで寝ようと思っていたらしいが寧人はそれに気付いて自分のまだ着てない新しいすこし大きめのTシャツとスエットズボンと下着を置いていたのだ。
「サイズは小さくなかったか? 一護は俺よりもでかい」
「大丈夫だった。ありがとう。気が利くのね」
「……」
カタカタとパソコンのキーボードを叩く寧人は一護の方を振り向くことはない。一護はそんな彼を椅子ごとくるっと回して、いきなり寧人の唇を奪った。抵抗させる隙もなくねっとりねっとりキスをする。が、ようやく寧人は体を突き放して顔を真っ赤にした。
「な、なっ! なにするんだよっ」
「あなたが目を見て離さないからっ。褒めてやってんのに……」
身を縮こませてる寧人をよそに一護はパソコンを見る。
「そんなにこの仕事大変なわけ? 何も言い返せないあんたに仕事全部まわってきてんじゃないの? 見た感じ全部タスクワーク。ようはあなたは指示がないと動けない人間……」
「うるさいっ! 俺はな、フードジャンゴのアプリの開発に関わってる人間だぞ。他にもいくつか……」
「あくまでも関わった、でしょ? 見た感じ本とかもいくつかあるけど最新のものが多い、パソコンも自前、スマホも最新式、それなりの知識と技量があるはず。もったいないわねー」
といきなり一護は寧人の上に乗ってパソコンを触り出した。細い指が素早く動き、寧人が止めても無駄であった。
「なにするんだよっ」
「すごいじゃん、このパソコン……あんたもったいないよ」
「もう好きにすればいい……もう作業は終わった」
寧人は諦めたが、自分の上には一護がお尻を向けて座っている。しかも何故かさっきからお尻を擦り付け流ような動きをしている。
とても艶かしく、色っぽく。
寧人は冷や汗をかく。何故ならば自分のアレが反応していたから……。
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