コスメカウンターの魔女

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 「LGBT」に対する理解が深まっているって、どこの世界線の話なんだろうか。少なくとも僕の生きている世界では、ない。僕は男の子として生きてきたけれど、可愛いお洋服が着たいし、宝石箱のように煌めくコスメを集めたい。でもみんな変な目で見るんだ。僕を中心に、お店の中に空白ができる。でも構わない、薄く涙は込み上げてくるけれど、可愛いものに囲まれる幸せを譲る気はない。  今日も自分の好きなものを身につけて武装する。サマンサのバッグに、is Scolarのワンピース。YOSUKEにしては華奢でシックなレースアップのショートブーツ。街中を歩くと「何あれ」、そんな声が聞こえてくるけど構わない。マスクの下で、エチュードハウスのティントが僕の心を守ってくれる。それでもガラス越しに見える自分の姿に心が揺れる。逃げるようにしてデパートに駆け込んだ。
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