第一章 新たなる希望(妄想女子の正しい拾いモノ恋愛セミナー)

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3問目 さて、どうやら問題がある。  目を開けたら、いつもと良く似た、けれど見知らぬ良い匂いに何となく柔らかな気配を感じる部屋の天井がありました。どうやら知らないうちに何処かの家の中へと連れ込まれているのが分かります。何故か頭にコブが出来ていますが幸いにも着衣には乱れがなく、なんならそっと肌掛け布団が掛けられている状況において胸の内を占めるのは困惑と恐怖の混在する現在。  この家主は自分の知人であるかどうか?  起き上がる前に答えを出さ……なくてはならない……こともないか。  ……。  起き上がって辺りを見渡した後、自分の部屋とよく似た1DKの部屋であることを見てとると寝室に続く扉を遠慮なく開け、まじまじとこの部屋の主らしき女性の寝顔を眺める。     間違いなく、知らない女だな。   ……うん? ふむ、それほど悪くない。  何が悪くないって顔は、まあまあそこそこさることながら、蹴飛ばされた掛け布団から露になっている身体のタンクトップ一枚、その内側の柔らかそうで溢れそうな胸の谷間に、好みのショートパンツから突き出ているほどよく色っぽい肉のついた脚に、捲れあがった服から覗くウエストの括れ具合もよろしくその誘うように白く滑らかで肌理細やかな肌も撫であげれば掌に吸い付くよう……。  いや、そんなことを考えている場合じゃなかった。どんなことかって、そりゃその先にあるのは健全な男性が考えることのひとつふたつ、それはさておき昨夜は何とか自宅のあるマンションの玄関までたどり着いて鍵を開けたところまでは覚えているということはつまり、部屋に行く途中で寝落ちしたか。となれば、見慣れた天井に良く似た間取りの違うこの部屋は同じマンションのどこか一室。  拾われたのか。  しかし、拾うんだな知らない男を。  危機意識なんてものがないのか想像力がないのか只の馬鹿か?  このまま立ち去るのが正解だと思うが何も言わずに立ち去って、同じマンションに住まうもの同士ばったりまた会うのも気不味いと思いながらスマホや財布がそのままポケットにあるのを確認する。  目の前に寝ているこの女は少し酒臭く馬鹿かもしれないが、悪人ではないのだろうおそらく多分。  無防備にベッドの中で睡眠を貪る姿を見ていたら、その安定した寝息に再び眠気に襲われて。    ……。  おっと。ヤバい。  ふらふらと吸い寄せられるように、膝をつきベッドにもたれて二度寝しようとしたところで気がついた。知らない女の部屋で、オレは一体何をやってるんだ。と、ここでようやくオレの目は完全に覚めた、そう思っていたら目の前の女も目を覚ましたようで「ごちそうさまでした」と言いながらむくりと起き上がったのである。  目が合う。  ひと呼吸遅れて見えている白い肌の全てを真っ赤に染めた女は、おそらく隠れている箇所も赤く染まっているに違いない……っていやいや、まあ……ひどく驚いた様子で、ぽかんと口を開けた。  いや、そこそんなに驚く? 驚くか。  でもアンタがオレを連れ込んだんでショ?  なんだかその間の抜けた顔としばらく向かい合っていたら餌を取り上げられたリスかハムスターに見えてきて噴き出しそうになる。 「……えっと、あの……その、おはようございま……す?」 「……おはよう」  軽くペコっと頭を下げながら朝の挨拶をされてしまって、反射的にそれを同じように返している自分もどうかと思う。まあ、あっち向いてホイみたいなことだよ、うん。  それはともかくこの場においてオレは怒るべきかそれとも礼を言うべきなのか、今現在、オレの中で早急に答えを求められるべき問題はこっちだ。 なんて言う? え? それとも……もしや、ナニを期待されてる?
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