25人が本棚に入れています
本棚に追加
少女との出会い
私の名前は佐川翔輔。私は今日、死ぬ。
なぜ死ぬかって?
今日は私の死刑が執行されるからだ。
私は多くの人を殺めた。無差別殺人だ。
私利私欲のため…いや、本当は違う。
一人の哀れな女性のためだ。
今日は最後に、あの女性のことを思い出そうと思う。
~15年前~
すべてが憎かった。
目の前のすべてが癪に障る。
おかえりなさい
毎日毎日妻は私を出迎えるが、その出迎えさえ私を苛立たせた。
いつしか、その出迎えは無くなっていた。
この豪邸には、私一人しか住んでいない。
仕事が私の生きがいだった。
幸いにも仕事だけはできた。
繊維に関する職に就き、営業マンとして出世した。
数年で課長職についた。
私が出社をしても挨拶はない。
見た目だけ美しい受付嬢も、私が出社をすると笑顔が消える。
それでいい。私にはマネキンにしか見えないのだ。
今日も昼まで軽く仕事をこなし、愛妻弁当を食べる社員を横目にコンビニへと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!