guess hitter

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「もう二日かあ……」  私はメッセージアプリのトーク画面とにらめっこしていた。親友であるはずのミユに送った『今何してる?』というメッセージに既読マークがつかない。ミユと四十八時間以上連絡が取れないのは、知り合ってから初めてのことだった。  もちろん電話も通じず、相互フォローになっているSNSも更新されていない。ミユと同じ職場の友人にも尋ねてみたのだが、仕事も休んでいるようだ。今日は残業の予定だけれど、昼休みを返上すればなんとか定時で終われるかもしれない。ミユの部屋まで足を運んでみよう。  私はいつもより頑張って仕事をこなそうと決心し、急いで大盛ラーメンをたいらげた。  定時に職場を出ると、濃紺から橙色のグラデーションに染まった夕焼けがカーテンのように広がっている。友情という力のおかげで、なんとか仕事を片づけることができた。  愛車をミユのアパートの駐車場に停め、階段を上る。ミユはいつも自転車で移動しているため、自動車は持っていなかった。いわゆるペーパードライバーというやつだ。  二階のプレートも何もないドアを二度ノックする。しかし、応答はない。何度かそれを繰り返し、スマホにコールした。それでも返事はない。  家族の仲に問題はなかったし、そもそもミユの両親は東京に住んでいる。どちらも定年退職後もばりばり仕事を続けており、病気だという話は聞いたことがない。  ミユが北海道の大学に進学したときの逸話が残っている。両親は自分たちも仕事を辞めて引っ越しをすると泣いたそうだ。  同じ職場の友人に聞いたところ、仕事でミスをしたわけではないし、人間関係も問題はないという。大きな仕事が一段落したばかりで、上司に有給休暇を取るよう勧められていたらしい。趣味であるオタク活動は充実していたし、発信元であるSNSで炎上したこともなかった。  唯一わからないのは、好きな人がいたかどうかだ。プライベートな部分はほとんど知っているが、ここひと月ほどミユとは恋愛に関する話をしていなかった。というのも、私がつい最近元彼と最悪な別れ方をしたからだ。ちなみにミユは二年前から恋人がいない。  ミユは優しいから、好きな人ができたとしても今の私には話さないだろう。細やかな気配りができるところが、ミユのいいところだ。  五度目のノックのあと、部屋のドアが開いた。 「サキちゃん……」  灰色のパーカーにスウェット姿のミユは、少しやつれたようだ。肩まで伸びた髪の毛はぼさぼさになっており、目には生気がない。 「何かあった?」 「シュンくんが……」 「シュンくん?」 「死んじゃった」 「え?」 「死んじゃったよう」  ミユは私にすがりついて、泣き始めてしまった。
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