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「おじいちゃん、ご飯だよ。どう? まだ痛い?」  孫の蓮が、無造作に襖を開けて入ってきた。 「卒アルは、後で俺が片付けておいてあげる」  蓮はそう言って、おれの手からアルバムを取り、見始めた。 「おじいちゃんの年代で、卒アルが全部キレイに残ってるって、すごくない? 幸せだねー」  蓮がアルバムに見入っているので、おれは尋ねてみた。 「このアルバム、変なところはないかい?」 「え?」 「例えば、小学校の校舎。ちゃんと写ってるか?」 「何言ってるかわかんないけど、古い木造校舎だねえ。建物が黒いのは、何か特殊な塗料でも塗ってるの?」  おれは横からアルバムを覗き込んだ。 「あっ!」  そこには、さっきは消えていた校舎があった。  蓮がめくるページには、亡くなった同級生や先生も写っていた。普通の卒業アルバムに戻っている。 「部屋も片付けてあげるから、おじいちゃんはしばらく何もしないでね。じゃ、ご飯食べよう」  そう言って出て行った蓮は優しい子だが、いつも以上に優しい。
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