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 令和四年、三月初め。  ようやく暖かくなってきたので、久しぶりに部屋の片付けをすることにした。  普段は簡単に掃除機をかけるくらいだから、今日は丁寧にやるつもりだ。ついでに押し入れの中も片付けて、もう使わない物は、次の大型ゴミの日に出そう。  適当に物を突っ込んでいるだけの押し入れである。整理するのは、かなり大変そうだ。  古着、壊れたCDラジカセ、学生時代に始めたギター。もうぐちゃぐちゃだ。 「よくもまあ、こんなに物が入っているな」  自分でやったくせに、アクロバティックに物を積み上げてあることに妙に感心したりして。  その中には、卒業アルバムが何冊か積み上げてあるのも見えた。  おれは、片付けの途中で、それらを手に取る。 「こういうの見ちゃうと、片付けって進まないんだよなあ」  もう何度も飽きるほど眺めているので、特段懐かしいというわけでもないのだが。  何気なく、中学時代のアルバムを開いたおれは息を飲んだ。  クラスの集合写真のクラスメイト何人かが、そこだけ切り取られたように消えている。担任の先生も同じ。
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