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6 竜を撃ち落とす
舳先に立ち、アッカは旋回する竜を照準器越しに見る。
胸がドキドキと脈打っている。
(射ったら、ありったけの風を魔法でのせて叩き込む。大丈夫。この弾はリクハルドさん特製。もしかして対竜戦があったら使えそうですねって言いながら今まで使う機会はなかったけど……!!)
竜の動きは、想定よりも早い。
軌道を読む。
目を細め、風の音を聞く。
心の中でカウント。5、4、3、……。
竜の動きが、急に不規則になり、アッカは照準器から顔を上げた。外してしまうかもしれない、迷いが生じたそのとき。
真横に人の気配。
大丈夫、と低い囁き声。
「俺がカウントする。アッカさんはしっかり構えて」
その声に合わせてアッカは再び照準器を覗き込んだ。いくよ、という呼び掛けが耳をかすめる。
3、2、1
「撃てーーーーーーーーーー!!」
力強い声と同時に、アッカは弾を放ち、魔力を叩き込む。
変則的な動きをしていた竜にかわされては打つ手なしだったが、まるで弾に吸い寄せられるように竜自身が角度を変え、弾はその首筋に命中した。
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