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もちろん、そんな制限がかけられることになったのは、外界のバランスが一変したからだということは、あたしだって理解している。
かっこよく言うなら、神様の暇つぶしってところかしら。
でもそんなここよりずっと遠くの、上の上のそのまた上に鎮座まします神様なんかを恨もうとしたって、姿かたちさえ思い浮かぶはずもない。
実際、あたしたちの自由を阻むのはいつも天井なのだ。容易に目につく、この上なくわかりやすい仮想敵。
外をどんなに獰猛な怪獣や凶悪なウイルスが跋扈していようとも、そんなことは屋内のあたしには関係がない。
……はいはい認めますよ、本当のところは詳しい外の情勢については不勉強です。
環境問題とか政治的とか、そういうのってとっつきづらいし、どうでもいいじゃんみたいな? 実際、知らなくても生きていけてるしさ。
うるさいなー。あたしはもっと、今考えても考えなくてもどっちでもいいような、どうでもいいことだけを考えて生きていきたいの!
夢みがちで悪かったわね。どうせ外にも出られないんだしさ、あせることないじゃない。
もう、あなたが口やかましいこと言うからさ、なにを言いたかったか忘れちゃった。
まぁ結局、この四角く切り取られた空間での鬱屈した生活の象徴が、あたしにとっては天井だったんだよね。
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