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「えー!!じゃあOKしちゃったの!?」
「馬鹿、声でかいって」
「...あ、ごめん。...てか随分思い切ったね、普段の羽柴なら考えらんない」
「まあ俺も染谷くんも合意の上っていうか、染谷くんの友達にそう見せられればお互いそれでいいって感じだし。なにより楽しそうじゃん」
「...楽しそうって...。羽柴、普段は平和主義な癖に変なとこでリスキーだよね」
友人である間宮に昨日あったことを掻い摘んで話せば、それはもう驚かれた。
間宮は染谷が俺に声を掛けて放課後呼び出したことも知っているし、その先の展開が気になっていたんだろう。
朝顔を合わせた瞬間に、昨日何があったの!?と詰め寄られたから一応話してみたが、こんなにも驚かれるとは思わなかった。
「...でも、なんか昨日の染谷くん雰囲気違かったしさ。それほんとに罰ゲーム?」
「は?...いや、罰ゲームじゃない方が色々おかしいって。何をどう考えたら染谷くんが俺のこと好きになるの」
「...ああ、うん。まあたしかに。接点もないしね...」
間宮はどこか納得のいっていない顔をしていたが、俺と染谷の中ではちゃんと納得もいっているし何も問題はない。
嘘でも付き合ったからにはそう見えるように動かなきゃいけないんだろうが、俺はそれもどこか楽観視していた。
未だに、何故俺に白羽の矢が立ったんだろうかという疑問は残るが、きっと最初は女子に罰ゲームで告白するつもりだったけどそれで本気になられたら...みたいな懸念が出て、なんとなく俺が選ばれただけだろう。
深く考えても彼らが何を考えているのかわかるわけもないし、俺もとりあえずこの状況を楽しめればそれで良い。
朝から燦々と降り注ぐ日差しにカーテンをピシャリと閉めて、俺はHRが始まる教室でゆっくりと視線を教壇に向けた。
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