1.レイラの引っ越し

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 結局、レイラのアパートまでアリスの母のレイに車で迎えに来てもらった。  帰りの車の中でアリスは、 「ママ、私は恵まれ過ぎてるよね…」 と話し出した。レイは、 「そうねえ、アリスはまだ苦労をしたこと、ないもんね」 「私、今日レイラの住んでるとこ見てさあ、ショックを受けたよ…」 「アラアラ、ここはまだいい方よ?田舎の農家なんかひどいものよ?」 「え?そうなの?ママ?」 「ウン、私がパパと知り合った海の街ではみんな貧乏でね、それはひどいものだったわ…」 レイはそう言って10年以上前の海の街に想いをはせた。 「私が海の街に住んでいた時もね、二十歳のころだったけど、それはひどいボロアパートだったのよ?そこにパパが通ってきてね…」 その時、 「ママ!前!前!」 とアリスが叫んだ! レイは、 「キャー!」 と言って急ブレーキをかけた。信号待ちの車に危なく追突するギリギリで止まった…。 「もう、ママ、ちゃんと前を見ててね!」 アリスがそう言って注意したとき、アリスの脳裏にいい考えが降ってきた。 「あ!そうだ!いい考えがある!」 「どうしたの?アリス?急に…」 「うん、えっとね、うちの家、汐音(シオン)さんがいた部屋がまだ空きのままでしょ?あそこにレイラを入れてあげられないかなあ…」 「そんなに簡単に言うもんじゃないわ、アリス」 「だって全国1位のレイラがさ、あんなとこに住んでたら、腕も落ちちゃうよ。私はレイラには万全の状態で試合をしてもらいたいの。お願い、ママ」 「う~ん…。屋敷のことはママやパパが決められないから、帰ってももっちさんに相談してみないことには…」 と、少し困り顔になり、 「でも先にパパに話してみましょうね」
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