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「おはよ、菜緒子」
信治はいつも眠そうだった。
サッカーでの推薦がダメで、今も必死に受験勉強をしているらしい。
「今日も眠そうだね…」
信治は私の顔を見て一瞬固まると、溜息を吐きながら机に伏した。
「もう死にてぇよ…」
信治はそう言うと、突然顔を上げた。
「俺、浪人しようかな…。浪人したら一年の猶予が出来る…。こんなに素晴らしい事は無い」
信治の性格だと浪人すると、来年の今頃、また同じ事を言っている気がする。
「もう少しの辛抱だ。頑張れ」
私は信治の肩を叩く。
すると信治はまた崩れる様に机に伏せる。
そして直ぐに顔を上げた。
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