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「ああ、確かに」と納得するあたし。「ピンクの髪の女の子も青い髪の男の子も可愛かったし。いいよねーいまってミルクティー色とかいろんな髪色の選択肢があって。あたしのときは、髪を染めるといったら茶髪やオレンジ系ばっかで。いまほど選択肢は豊富じゃなかったわ。羨ましい」
「ですねー」
「……と。あ、ごめん。ちょっと電話出るね」とバッグからスマホを取り出し、「……もしもし」
『あ、悪い。一時間後くらいに花見町に着けると思うが。まだ早いか?』
時計を見た。十六時。確かに、主婦はお食事の支度などを意識しなければならない時間帯である。
「ミカちゃんにも確認するけど……たぶん、大丈夫」
大丈夫です、とミカちゃんが口パクで答える。いい子だ。
『なら、改札前で、待っていてくれ』
* * *
一色くんが車で迎えに来てくれ、時間を調整してちょうど蒔田さんが花見町に着く頃に到着した。あたしは改札前で蒔田さんを待っていたのだが――
「うわまじで?」――向こうからやってくる蒔田さんを見てびっくりした。パーマ。かけてる……前髪だけうねりのある細かいパーマがかけられ、前髪をいつも通り下ろしている。エッモ。
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