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メジロを知っていますか?
ちいさなちいさな鳥です。子どもの手のひらにすっぽりと入ってしまうくらい。
きみどり色のあたまに、ちょっと黒っぽいみどり色の羽をもっています。
なによりも目立つのは、目のまわりがくるりと白くなっていること。目のまわりが白いから、メジロと名前がつくくらいですもの。
チーチー、チュリルチュリル。
メジロのちーすけは、お母さんからごはんをもらって、元気に鳴きました。
生まれたばかりのときは、もも色でやせっぽちな体でした。でもいまは、すっかり綿毛につつまれて、こんもり丸くなっています。
色だって、お父さんとお母さんにそっくり。
すこし前まで、ちーすけは三羽のきょうだいと、いっしょにくらしていました。
でもいまは、巣の中にはちーすけしかいません。きょうだいは、自分の力で空へと飛んでいったのです。
ひな鳥は、おとなの鳥になるために、巣からでていきます。これを巣立ちといいます。
ちーすけもなんとか飛ぼうとするのですが、どうにもうまくいきません。きょうも巣のふちに足をかけて、ぱたぱた羽をうごかします。
ここでふんわり体がうけば、きっとちーすけも巣立ちができたでしょう。
だのにどんなにいっしょうけんめいはばたいても、足は巣からはなれません。
それもそのはず。空を飛ぶためには勇気をだして、「えいやっ」と足をのばすことが大切なのです。
ほんとうに飛べるのかな。落ちたらどうしよう。
そんなことを考えると、足から力がぬけて、巣の中にころげてしまうのでした。
ひっくりかえったちーすけは、空を見上げます。葉っぱと枝のすきまから、白い雲がのんびりとながれていくのが見えました。
「ぼくも雲みたいに、空にうかびたいな」
ちーすけはちいさな声でいいました。
とてもこわがりのちーすけを、お父さんもお母さんもしからないで、そっと見まもっています。
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