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1.
「マコに報告があるんだけど・・・ なんと彼氏できたの!」
ランチ後のカフェで、ミナミが弾けるような笑顔で言った。私は一瞬ドキッとした。いつかはミナミに彼氏ができるであろうことは予測していたけど、突然だったからだ。平静を装い「えーそうなんだ。おめでとう!」と祝福する。ミナミは「へへ、ありがと」と恥ずかしそうに頬を赤らめる。
「日曜日に彼と会う約束してるんだけど、マコを紹介したいから三人で一緒にランチしない?」
ミナミの彼氏になど会いたくないし顔も見たくない、と言ってやりたいがミナミの顔を曇らせたくはない。ミナミの笑顔が見たい。
もちろん、と言って私たちは待ち合わせ時間と場所を決めた。ふと腕時計を見ると午後の始業開始時刻五分前だ。「そろそろ時間だから戻るよ」と私はミナミに声をかける。ミナミはまだ話足りないようだったが、「ほら、行くよ」と手を握った。ミナミの小さな手を包み、少しだけ幸福感を味わった。
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