第五章 所詮逆ハーと見せかけて答えは出ているものである

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目覚めの紅茶を飲みながら、甲斐甲斐しく私の髪を整えるハーディスに視線を向ければにこりと笑みを浮かべた。 「男二人を手玉に取っているだけですよ、お気になさらず」 「勝手に心を読むの止めて」 「わかりやすいだけですよ」 紅茶のカップを置いた途端、後ろから抱きしめられる。 この腕の大きさ、あたる胸の硬さから誰かわかる。 「ハデス」 「おはよう、愛しき妻よ」 無理矢理顔を動かされキスをされた。 その顔は非常に満足げだ。 こうやって突然交代するのもかなり慣れた。 「ようやくあの世界が元に戻ったそうだ」 思わず顔が明るくなる。 エリスに頼んだ世界の修復は思いのほか難航し、やっとの報告に涙が出そうだ。 ディオンとカール様は二人とも素晴らしい女性と結婚し、幸せな人生を送っているという。 両親には私では無いティアナという娘がいて、彼女も近く良い相手と婚約するらしく両親は喜んでいる。 気になる人々は皆無事で、そして幸せに過ごしているとわかればもう十分に満足だ。
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