第五章 所詮逆ハーと見せかけて答えは出ているものである

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「朝食にしよう。 昨日はハーディスと過ごしたのだ、今日は我でいいな?」 「はいはい、お好きなように」 わざと聞いてきて自分を選ぶように言わせるのもわかっている。 むくれているハデスの頬に振り向いてキスをすれば、一瞬で機嫌が直った。 「ハデス、エスコートを頼める?」 いたずらに言ってみれば、ハデスは笑うと簡単に私をいわゆるお姫様抱っこをして歩き出す。 思わず噴き出して、私は満足そうなハデスの首に手を回した。 今日は生贄の適正者の話が出ることを知っている。 さてその仕事にはとある女神に行って頂こう。 私は冥府を司る神の妻。たまにその立場を利用したって良いはずだ。 きっと既にハーディスの指示で用意されてあるであろう朝食を、私は楽しみにしながら再度ハデスの頬に口づけた。                             END
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