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初めて伶に会った時、お姉ちゃんができたみたいで本当に本当に嬉しかった。元々人見知りだったはずの私はすぐに伶に懐いて離れなくなった。それ以来、親たちも微笑ましそうにそれを眺めながら私と伶は同じ学校に通い、隣同士の家へと帰っていた。伶が先に卒業すればわたしもそこへ一年遅れて入学する。それをずっと繰り返してきた。だから今回だって伶の後を追えばいいのだろうけど、伶の選んだ「自分の道」をわたしが後追いするのはなんだか違うような気がした。だからこそ、どうすればいいのか分からず何もかもが手につかない。本当ならその辺の誰でも通える大学に進学して、わたしもそこへ追いかけて行きたかった。けれど、わたしだって大切な人の将来を潰そうだなんて思ってはいない。天真爛漫でいつも周りを驚かせていた伶のことだから「大学には行かずに世界を飛び回るんだ」とか言い出しそうだなと身構えていただけあって、そんなものに比べたらこの程度の寂しさは誤差のようなものだった。でも、寂しいものは寂しい。伶の受験が近づくにつれ、当たり前のように伶の卒業も近づいてくる。三年生は自由登校になり、学校でも会える日がどんどん少なくなっていった。いつもなら下駄箱で待ち合わせをして帰りにクレープを食べたりして、伶の家でゴロゴロしたりして。課題をやらないわたしを叱る伶の顔はいつだってやさしくて。
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