龍の集う夜

4/4
前へ
/4ページ
次へ
「盟約に託けてキスしただろ。散々文句言ってたくせに…」  小突いてくるカイルに、ユーリが微かに頬を赤らめて髪を引っ張り返した。 「うるせぇんだよ、悪戯小僧」  天上界のカイルの家。約束通り、ユーリの髪と瞳は銀色に戻った。 「どーするんだよ、また会いに行くのか?」  カイルの問いに答える代わりに、ユーリは軽くパンチをお見舞いした。  アリアは、いつまで俺のことを覚えているだろうか…。  龍族の寿命は、約千年。その上四龍神ともなれば、その倍になることも。十年や二十年、たとえ百年経っても、人型の外見はほとんど変わらない。  時を同じくして生まれた人間が、歳を経ていこうとも…。 「《四龍の集い》、絶対抜けてこいよ…」 「神龍様が見逃してくれたら、な」  何でもお見通しで可愛がってくれてるお方だから、多分大丈夫だとは思うけど、とユーリは小さく吐息を吐いた。  そして、二頭の寂しがり屋の龍たちの夜は更けてゆく。             了
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加