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僕と君とキャサリンと
「…ということなんだ。」和馬は秘密の話を終えた。眼前にいるのは、キャサリンによく似た40歳前後の女性だった。
最近キャサリンが亡くなった事を妹のアリスから聞いたのは1か月程前だ。『お姉ちゃん和馬に逢いたいって』震える声もキャサリンそっくりだった。実際にアリスに会って、すぐに感じた。
そしてこう言った。
「なぜだか君には話しておきたいと思ったんだ。会った瞬間から。あの夢のようなアメリカでの3年間の、特に最初の1年目のことを。君だけに。他の人には絶対に言いふらさないでほしい。僕と君だけの秘密のお話だ。それじゃ、いくよ。」と
アリスは言った。『お姉ちゃん、おねしょは6歳で卒業してますよ…』
ああ、そうか、あれは涙だったのか。
僕はあの時初めてキャサリンの涙に触れたんだ…。
僕は、アリスと一緒に涙した。
きっとキャサリンも天国で泣いてくれてるかな。
完
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