おねしょカップル

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おねしょカップル

 次の日の朝、彼女の姿はなかった。どこにもなかった。ふと横をみると、ベッドのシーツがぐっしょりと濡れていた。そうだ!と思い立って、自分のシーツも確認する。やっぱり濡れていた。最後の最後までおねしょしている。 ベッドの横のタンスの上には置き手紙が置いてある。「和馬へ。私はもう病院に行きます。入院します。貴方との日々楽しかったわ。そんなことよりねぇ、私も夜中おねしょしちゃったのよ。これで私たち『おねしょカップル』じゃない?高校生になって、おねしょカップルってイケてない?』そういう事だったのか…。  リビングのテーブルには、ピザが置かれていた。きっとキャサリンが作ってくれたんだろう。僕はそれを、わんわん泣きながら一生懸命口の中に入れた。 涙で味が判らなかった。
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