初恋は実らない

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初恋は実らない

「ねえ、雪菜」 「ん、なに?」 土曜日、昼過ぎの図書館。 なかなか終わらない課題に頭を悩ませ取り組んでいると、急に話しかけられた。  「私の事、好き?」 わからないところがあるのかと思って彼女の方を見ると、予想と違う言葉が飛んできた。 私が大好きないつもの明るい笑顔と、なぜかためしているような声で聞いてくる。 「大好きに決まってんじゃん」 私は、自分の本心を言った。 それが、彼女の求めている答えなのか分からないけども。 「ふーん、そっか」 照れたように笑う彼女の顔が妙に頭に残る。 私の答えは彼女の中の合格点に達していたのだろうか。 「なにその答え」 そう言って、彼女の言った意図がわからないまま、課題に目を移した。
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