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「最近、魔物が出なくなった。との噂が立っている。そうであればまた戦いが始まる。
我々はこの村の政治は今まで通り自分達で執り行うことを希望している。
それには戦わなければならない。
あんた達はそれに協力できるか。」
「応。」
と、ラルゴが答え、
「我等は村の外でその戦いとやらの警護に当たる。
明日こちらから使者を出す。詳細はそいつと決めてくれ。」
と、締めた。
ラルゴのテントに集まったのはラルゴの他にボルスとデルフ。その二人を前に、
「さて、ああは言ったものの誰を使者に出したものやら。」
と、頭を抱えて見せた。
「俺は無理だぞ。」
まずデルフが声を上げ、ボルスの顔を見た。
「俺もだ。交渉ごとは苦手だ。」
「俺も同じだ。だから今日は引き上げてきた。」
行き詰まったところで、
「ヨゼフはどうだ。腕は立たんが、弁が立つ。」
と、ボルスが言い出した。
「レンジャーか。弁が立つとはどれ位。」
「昔、ブリアント王に出す報告書は殆どあいつが書いていた。それに直接の報告の時も俺はあいつを連れて行っていた。
いつも上手く話していたよ。」
「面白いかも知れんな。そいつを呼んでくれ。」
ヨゼフがテントに入って来ると
「お前をタンカへの使者にしようと思う。」
ヨゼフはきょとんとした顔をし、生返事を返した。
「お前が行ったら何を決めてくる。」
たたみ掛けるラルゴにヨゼフはちょっとの間考え、
「私が使者としていくのであればティア様も一緒に行っていただきたい。」
「ティアを連れて行ってどうする。」
「ティア様は臨月が近いはず。まずティア様の産屋(うぶや)を確保して貰う。」
ラルゴの顔に喜色が浮かび、
「使者はお前に任せるよ。すぐに準備してくれ。」
と、即断した。
ヨゼフがテントを出て行くと、
「今日の村長(むらおさ)の話、色々と腑に落ちないことがある。ボルス、調べてくれないか。」
「それなら得意だ。」
ボルスが笑い、
「俺と俺の部下、暫くここを離れる。」
と、言ってテントを出て行った。
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