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上の砦、そこに残りこの砦を支えていた者達はティルトの到着を見、ホッと胸を撫で下ろしていた。彼らが奥の砦に去ってから徐々にバルバロッサが増えだし、今では二百人の数では手に負えないほどになっていた。
「どうだ。」
ティルトは到着するとすぐに櫓に登った。
「増えています。」
「五百という所か。一気に攻め潰すぞ。」
ティルトは櫓を駆け下り、出陣の準備を急がせる。その間に低い城壁の上からは次々と矢が射られ始めた。その矢風にバルバロッサが怯んだ所を一気に押し出す。
その夜までには勝負は着き、バルバロッサは退き上げ、ティルト達は勝ち鬨を上げた。
「次は王宮か。」
誰かが浮かれたように言うのに、
「そんなに甘くはない。」
ティルトが苦い顔をする。
「さっきの残党からここを守るためにまた人数を割かなければならない。
先に行けばいくほど我等は先細りになっていく。」
「どうにかならないのですか。」
「人数ばかりは・・な。」
その夜はそれで寝た。そして朝。奥の砦の方から声がする。
「しまった。やられたか。」
大慌てで飛び起きたティルトは取るものも取り敢えず城壁に登りそこから大声を上げる。
「戦闘準備。ここは放棄し奥の砦に向かう。」
城壁を降りる前にもう一度、南からの土煙に目をやる。そこに見えたのはルミアスの旗。ホッと息をつき、前言を取り消す。
奥の砦からの援軍二人が城門を通るとすぐに、その指揮者に声を掛ける。
「後方は・・・」
「残党狩りはほぼ終了しました。守備の人員百五十を残し援軍に参りました。」
「よし、これで王宮の奪還に臨める。
すまないがお前達はまた奥の砦と同じ役を担って欲しい。但し、なるべく殺すな。ここは数が少なすぎる。」
それだけを伝えティルトは王宮奪還の軍の中に姿を消した。
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