第二章 新天地

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 それぞれが各々の行き先を地図上に印をつけ別れた。  ダイクはイシューの後を追い、ティアはラルゴやレンジャーの生き残りと共に新しい村を目指した。  「そろそろ俺達も行くか。」  ディアスも重い腰を上げた。 「どうする気かな。」  宿を出ようとするディアスにドリストが話しかける。  「まあどうにかなるだろう。」  そう言ってディアスが笑う。  「アシュラ族の領域を通るのか。」  ローコッドの声。  「血は流したくないな。」  「となれば、無事に通るための手土産は・・魔物の首か。」  「かといって魔物の倒し方は知らないがな。」  笑いながらディアスはブーツの紐を結んでいる。  「魔物を倒すんなら任せな。」  頭の上から声がする。  「ヴァン・アレン・・それにシーナも。」  ディアスとローコッドが驚きの声を上げる。  「先にここに着いていたのですが、あの中には入りにくくて・・・」  シーナが笑う。  「一緒に・・」  勿論。と二人が頷く。  「助かるよ。俺達は人と人との闘いには慣れているが・・魔物は、ちょっとなぁ・・・」  ディアスが苦笑いを漏らし、  「それだけ多くの命を奪ってきたって事だけどな。」  と、俯いた。  「これからは変わるんだろう。」  アレンがその肩を叩いた。  「よし。」  ディアスは何かを振り切るように掛け声をあげ立ち上がった。  「儂、ディアス、ローコッド、ノルトン、シーナそれにヴァン・アレン。  一行六人か。」  ドリストの声に、  「私もいます。」  ランシールの声がかぶり、  「儂もだよ。」  そこにはストラゴスも立っていた。  ゆったりと馬の背に揺られながら旅を続ける一行八人の前に時として魔物が現れる。  「魔物がいるんだなあ。」  「まあ修行にはよかろう。」  ディアスの声にローコッドの声がかぶる。  「ところで、シーナ。赤子は・・・」  「まだです。あと二月(ふたつき)ほど。」  ドリストとシーナ。  あちこちで会話の花が咲く。  こんなにゆったりしたのはいつ以来か・・カミュとサムソン、三人でバルモドス山に登ってティアを見つけ、あれから止まっていた時が一気に動いた。それまでは・・・  村で暮らし母親に怒られ、父親の仕事を手伝い・・・それが・・幾人の命を手にかけ・・・もう二十四歳。  ディアスは馬の背に揺られながら感傷に浸っていた。  「イシュー様は父上の所にたどり着いたでしょうか。」  そんなランシールの声にも、  「ああ・・」  と、ディアスは生返事を返していた。
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