記憶洗い

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「でもな、そう簡単に脳みそなんか取り出せへん。それは、他のヤツがやるんや」 「他のヤツ?」 「そう、他のヤツや。そいつは、人間の頭の中に手を突っ込んで、汚れた玉をとりだすんや」 「玉ですか」  この老人は、頭がおかしいのか。  この部屋から早く逃げ出したほうがよいだろう。 「その玉を川の水で丁寧に洗うんや。汚れたヤツほど念入りにな」  頭が混乱してくる私。 「洗うってだれがやるのですか」 「だれって、ワシしかおらへんやろう」  老人は表情一つ変えずに答える。
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