記憶洗い
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霧の中を歩き続けていると、薄ぼんやりとした明かりが先に見える。 小屋を少し大きくしたような煉瓦作りの家だ。 厚みのありそうな玄関のドアを三回ノックする。 人の足音がかすかにきこえ、ロックを外す音がしてドアが少しだけ開けられる。 背が低い、白い髪と髭だらけの老人の顔が浮かぶ。 「あのう、すいません。歩き疲れて……、少し休ませてもらえませんでしょうか」 「入ったらええ」 「ありがとうございます」
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