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真っ白なねこ
たまごたちに色を全て分けてしまったねこは、自分の力を失ってしまったのです。
「だいじょうぶ?」
「しっかりして!」
真っ白なねこはたおれたまま動きません。
「どうしよう」
「どうしよう」
たまごたちは皆で相談しました。
そして、ねこからもらった色を少しずつねこに返してあげることにしました。
「私の色を少し返すね」
「私も」
たまごたちは次々に自分たちがもらった色をねこに返していきました。
赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫。
全ての色を受けとったねこは、美しい『にじ色』のねこになりました。
「優しいたまごたち、ありがとう。私はすっかり元気になったよ」
ねこの体がフワフワと空に浮かびます。
「お礼に私からプレゼントをあげよう! これからたくさんの人に愛されるように! これからたくさんの愛で満たされるように!」
「それ!」
ねこは首をぶるんぶるんと大きく回しました。
すると、ねこの赤いスカーフからたくさんの小さな赤い玉が、たまごたちに向かって飛んでいきました。
「ありがとう」
「ありがとう」
たまごたちは、その赤い玉を両手につかんでゆっくりと下におりていきます。
「さあ、行ってらっしゃい!」
ねこが最後に大きく首をふり、しっぽをピンとのばすと、天使の涙のような雨はあがり、空が明るくなりました。
明るくなった空を、たまごたちは下へ下へと降りていきます。
そして、たまごたちはバラバラになり、少しずつ色がうすくなって、女の人のお腹の中に消えていきました。
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