エピローグ

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エピローグ

ーーside 小早川 梓 「小早川せんせー! 今度一緒にランチに行きませんか?」 「良いですよ」  新しい職場で私はまた懲りずに”先生”と呼ばれる職業についてしまった。小さな塾の講師だ。中学生を中心に学力よりも一緒に過ごすことを大事にして過ごしている。たまにこうして一緒に食事なんかもしたりして、話を聞く先生になろうと思っている。  そして婚活アプリを始めた。月に何度か見知らぬ他人とごはんに行く。それは私がもう他人に惑わされないことを証明する儀式のようなものだ。 「梓さん、食べる量それで合ってます?」 「いつもこうなんです。沢山食べる人が好きな方の方がお好きでした? ふふ、残念でしたね」 「いやぁ、それだけでこんな美人を置いて帰れませんよ」  自分を卑屈に見ることがなくなって、私は少しだけ強い女になった。食べることについてのコンプレックスもいつしか自分から話題にできるようになった。いつか、食も含めて私に合う人が見つかれば良いなと思う。  誰かと食べるものを選べることが今は幸せだ。ふと、新着のメッセージが入っているのに気がつく。 「梓さん! 今度は天満楼の中華粥一緒に食べに行きましょうね!」  よっぽど先日のお出かけのお店が気になっているらしい。私はメッセージを返した。 「お食事は好きなので一緒に行きます。ただし、多い分は食べてくれると嬉しいです」  私はもう”一人分のごはん”を自分で決められる。
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