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部屋中、猫だらけなの。一人で暮らすには少し広い部屋だから同居しやすくて助かってるんだけど、どこからが私のスペースか今では分からなくなってしまって、はっきりしているのは寝る場所だけ。 ぬいぐるみだけじゃない。小物や部屋着、キッチン用品、家具、カーテンや絨毯…バスタブから果ては蛇口まで、猫、猫、猫!猫がいない場所を探す方が難しいほどよ。 「ご飯、できたよ〜!」 お願いしなくても、きちんと私の分までご飯を用意してくれるけど、生活費に余裕がなくなってくると彼女のご飯は質素になるの。だけど…むしろ、それが好きみたい。 「う〜ん!美味しいっ!猫マンマ最強っ!」 とても幸せそうに頬張る彼女の横で、私は呆れながら静かに食事をするわ。だって…ここでも猫なのよ?好みはそれぞれだけど…私は断然、犬マンマ派ね。 ある夜、彼女は猫耳フードの着いたモコモコの部屋着で長い猫の枕を抱き締めたまま少し頬を赤らめて、ぽつりと言ったわ。 「あのね…彼が家に来たいって言うの」 あら。喧嘩したって聞いてたけど…仲直りできたのね。良かったじゃない。ってことは、邪魔者は退散すべきよね?いいのよ。その辺をぶらついてくるから。いつも、ご飯用意してくれてありがとう。楽しめるといいわね。 そして約束の日、私がトイレに入っていると、カンカンカン!って階段を上る足音がして、男女の談笑が近づいてくるのが分かった。 予定の時間より早くない!?まずいわ。今出て行ったら鉢合わせてしまう!後から思えば何食わぬ顔で通り過ぎれば良かったのかもしれないけど、その時は頭が真っ白になってしまったの。 私は大急ぎでトイレを済ませると、ぱっと目に付いた彼女のベッドの下に潜り込んで息を潜めた。そこには先客がいたわ。彼女が沢山持っているコレクションのうちの一つよ。いつの間に転がったのかしら。目が合ってしまったから思わず、ちょっとお邪魔するわね、ってテレパシーを送った。その瞬間、ガチャ、キイってドアが開く音がした。まるで映画みたいね。 ふと頭に流れたテーマソング。そうよ…私はキャッツ・アイ!気配を消して、このまま乗り切るのよ!
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