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非人界 7
「良かった。じゃあ・・・えっと・・・あ、そうそう。私は亜紀子といいます」
女は、自分の名前を名乗った。見ず知らずの人間に、苗字でなく下の名前を名乗ることに多少違和感があったが、俺は黙っていた。
「あなたは?」
「え?」
「名前。なんていうの?」
俺は、警戒心をひどく鼓舞された。
なにしろ、一人は確実に殺している。今日が何日の何時か知らないが、さすがに警察も俺を捜索しているに違いない。
「それより、ここ、どこ?」
俺は、答える代わりに、相手のことを探ることにした。
「名前は分かったけど、あんた、誰? さっき、別の誰かの名前も口にしてたよな? なんで、俺はここにいるんだ? なんのために、ここに連れてきた?」
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