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非人界 9
すると、亜紀子さんは補足した。
「それと、私たちみたいな存在も」
「私・・・たち?」
「私やあなた」
俺は、首を傾げた。俺は、少なくとも生物学的には人間だ。亜紀子さんの言う非人とやらじゃない。
だが、次の言葉には、俺は深く肯けるものがあった。
「人間なのに、誰からも人間扱いされず、自らも、人を人と思うことのない存在。それが、私たち」
それを聞いた時、俺は、ただちに、亜紀子さんを同胞と認めた。
別に、彼女を好きになったわけじゃない。信用もしない。
だが、あからさまに危害を加えてこないのなら、警戒する必要はないと判じた。
簡単で恵まれた人生の人間には分からないかもしれないけど、それくらい、亜紀子さんの言葉には、俺の琴線に触れるところがあったんだ。
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