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始まり 2
お袋は、恐怖のためか声も出ず、身動きも取れないでいた。知恵おくれみたいな表情で、血だまりを作っていく親父を見つめるのみ。
俺は、お袋の背後から近づき、さっとお袋の正面に回ると、心臓のあたりを狙って刺した。
でも、それが良くなかった。乳房が邪魔で、あまり深く刺さらなかったんだ。
包丁が刺さった時、お袋は、小さなうめき声みたいなものを発した。でも、それだけで、あとは気を失ったらしく、目をつぶって大人しくなった。
俺は、お袋の胸から包丁を抜き取ると、今度は腹に刺し直した。お袋は親父より腹の脂肪が厚い。そのせいか、手ごたえはいまいちだった。
けど、そこで俺は殺人行為をやめた。
両親を刺したら、すぐに逃げると決めていたからだ。
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