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非人界 3
俺は、女を見て、さらに警戒心を緩めた。いかにも人の良さそうな愛嬌のある顔に、小柄で華奢な体型。
これなら、万が一の時には、女に暴力を振るって逃げればいい。
俺自身、決して筋肉質ではないし(むしろ、貧弱なもやし体質)、体育も苦手だったが、腕力沙汰となればこの女には負けまい。
などと考えていると、女は、
「あ、起きてた。おはようございます」
と爽やかに挨拶をして、俺に近づいてきた。
「あ・・・はあ・・・」
俺は、しどろもどろだった。当然だろう、この状況では。
「よく眠れた?」
俺は、返事はせず、眉間に皺を寄せて、じいっと女を見つめ返した。面識のない相手にそんなことを聞かれて、返答する義理なんかない。
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