一章〜伏羲〜

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一章〜伏羲〜

五岳はどれも魔獣で溢れていた。 血と肉の貪り合い。 こんな中に人など降りたってもみようか。 物の数秒で肉片にされてしまうことだろう。 それでも危険を犯して五岳に入る者はいる。 人々は彼等のことを姫と呼んだ。 彼等は五岳で生きる術を心得ている。 それでも全員が生きて地に立つことができるとは限らない。 それほどまでに危険な五岳で人を見つけたのは、 彼等の中でも1番腕の立つ長年獣師をやっている陳醒でも初めてのことだった。 人妖が人に化けているのはよくあることだったが、獣師である陳醒にとっては見分けるのは容易いことだった。 (なぜこんなところに人がいる!) 陳醒は警戒して関わるべきでは無いと進言したが、 この中で1番若い軒轅が保護するなどとすました顔で言うなり、 一人で行ってしまった。 (阿呆め、あれほど五岳の中で一人で行動するなというておったのに)
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