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もしかして、入れ替わったまま、これから二人、ずっとこの部屋で過ごすのだろうかと思った途端、身震いがした。
まずは、水。
猫用の給水器は空だった。
猫の私は、水道の蛇口をひねれない。「私」、つまり、ココミだって、人間の姿をしていても出来ないだろう。
食糧事情も悲惨だ。
自動給餌器のある所へ行ってみたが、餌が出ていない。朝に出るようにして置いたので、ないと言うことは中が空――昨日で食べ尽くしたのだ。
昨日の朝、残り少ないことに気付いたものの、「帰ってきて補充すればいいや」と放置したことを激しく悔やむ。
この機械に補充する餌は、ココミが見つけて食い散らかさないよう、ジャンプしても届かない高い棚へ入れてあるから、今こちらに尻を向けて窓の外を見ている「私」が立ち上がって取ってくれないといけないのだが、どうやってそれを伝えよう。
第一、ニャーしか言えない猫の私が、目の前の「私」と意思疎通が出来るのかが疑問。
ココミ側の「私」も、同じくらい食糧事情は悲惨なはず。
でも、立ち上がって冷蔵庫を開けることを会得するまで、どのくらい時間が掛かるのか、想像も付かない。
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