#2 案内人 鈴木太一

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相良「・・・」 ・・・ ここは、どこだ? ゆっくりと流れる風、そして、微かに聞こえる木々が風で揺らくせせらぎの音。 だが、ここは暗い・・・自分の足元でさえボンヤリとしている。 ・・・ まさか・・・死んだのか? いや、そんな事は無いはずだ。 多分 ザザ・・・ なんだ? 何かの気配を感じる。 そこに、誰かいるのか? ・・・ 問いかけようと試みるが声が出ない、ただ気配だけは感じる。 ・・・ 人か獣か・・・ 木々が揺らめく中で、何かが静かにこちらをみている。 ・・・ 相良「・・・!!」 それと目があった。 赤色に発光する目。 その瞳孔は細く、獣の目だった。 蛇 体表が黒く覆われている黒い蛇が、俺をずっとみている。 獲物を狙う目か? いや、不思議と殺気を感じない。 どちらかというと、こちらの様子を観察しているようだった。 相良「・・・」 俺は、その黒い蛇に触れたいという衝動に駆り立てられる。 何故ならば、美しかったのだ。 黒く発光する鱗と、赤色に染まる獣の目。 その存在が神々しいと思えた。 それと同時に、こうも思った。 この黒い蛇ならば、俺の全てを救ってくれるのではないかと、そんな期待が心に満ちる。 ゆっくりと手を伸ばす。 相良「・・・」 指先が、黒い蛇に触れる瞬間 シャアアアア!! 相良「!!」 黒い蛇が一気に俺の全身に絡みつく。 拘束され、身動き一つ取れない。 更に締め付けは強くなり・・・ ボキ・・・ ボキ・・・ボキボキ・・・ 骨が粉々に砕かれる。 意識が遠のき、虚になる時。 蛇は大きな口を開け、俺の頭から喰らいつく。 相良「うあああああああああ!!!」 ーーー 相良「はぁ・・・はぁ・・・」 ここは何処だ? というか・・・さっきのは夢・・・か? 随分とリアルだった。 そのせいか、夢であったと思う記憶が、まるで現実に起こったかのように焼き付いてる。 待てよ・・・夢って事は俺は寝ていたのか? だとしたらいつだ? いつ眠りについた? 俺の手には毛布が握られている。 そしてここはソファーの上か? 周囲を見渡すと、事務的な机と椅子に、スチールでできた棚が並べられている。 一言で例えると事務室か? 部屋の明かりは消えているが、外から差し込む日差しがこの薄暗い事務室の照明となっていた。 この日差しの感じだと今は昼か? 状況の把握と認識で、思考が精一杯だ。 ???「起きたか。」 相良「!?」 声が聞こえた方へ振り向く。 視線の先には、パイプ椅子に座る黒いスーツの男がどっしりと腕組みをして座っていた。 ???「随分とうなされていたな。悪い夢でも見ていたのか?」
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