#2 案内人 鈴木太一

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鈴木「ったく・・・しょうがねぇな・・・」 鈴木さんは呆れていて、尾賀さんも苦笑いを浮かべるばかりだ。 すると、鈴木というのは偽名でほぼ間違いなさそうだが、何故素性を隠す必要があるのかは、当然疑問に思う点だ。 ただ、人にはそれぞれ事情というものがある。 ここは、あまり深く聞かないほうだよさそうだ。 鈴木「相良、悪いが俺は訳あって偽名を使っている。俺は、表にそうそう出れる状態じゃないんだ。わかってくれたら助かる。」 相良「はい・・・まぁ、大丈夫ですよ。」 鈴木「あぁ。」 一瞬、鈴木は尾賀に殺気を送った気がした。 尾賀「そ、そうだ!!剣一腹減ってるだろ!!」 相良「はい。減ってます。」 尾賀「そう思ってよ。買ってきたぜ。」 尾賀さんは手に下げていたビニール袋から、容器に入った弁当の様な物を三つ取り出して机に並べた。 その容器からは食欲をそそるいい臭いが漂っている。 尾賀「牛丸屋の牛丼特盛だ!!遠慮せずに食え!!」 蓋を開けたら、牛肉が山盛に積まれている牛丼弁当だった。 やばい、めっちゃうまそうだ。 相良「ありがと・・・」 尾賀「いただきます!!」 尾賀さんは早々に割り箸を手に持ち、牛丼に食らいついていた。 鈴木「お前が先に食ってどうすんだよ。」 尾賀「俺ぁ牛丼には目がねぇんす!!」 鈴木「相良、お前も食える時にしっかり食っとけ。」 相良「は、はい。」 全員で牛丼を食す。 牛丼を食べるのは久しぶりだった。 少年院で似たような物はあったが、やはり外の飯とは格が違う。 甘味に旨味、どれを取ってもうますぎる。 そういえば、ここ歌舞伎町に来てからまともな食事を取っていない、というか食事すらしていない。 したといえば、叢雲さんと弥田さんの3人で山田のぼったくりバーで烏龍茶を飲んだぐらいだ。 気がつけば、俺は牛丼を米一粒残さず平らげていた。 尾賀が言うには特盛という事だったが、まだ食いたりない。 おかわりがしたい・・・ 鈴木「そういえば、叢雲は大丈夫だったのか?」 尾賀「あぁ、まぁ最初はかなり疑われてたけど、なんとか信用してもらえた。」 鈴木「そうか。」 尾賀「けど、最後になんか妙な事聞いてたな。」 鈴木「妙な事?」 尾賀「あぁ、山田はどこにいるか?って聞いてた。」 鈴木「山田?山田仁の事か?」 尾賀「あぁ。死霊跋扈の総長だろ?俺ぁそいつが何処にいるかなんて知らねぇて言ったら、自分達で探すそうだ。」 鈴木「理由は?」 尾賀「さぁな。」 叢雲さんが山田を探している? ・・・そういえば、ぼったくりバーでは、気のせいかもしれないが何か知っているような感じだったな。 尾賀「まぁ見つけるのは、そんなに難しそうじゃねぇけどな。」 鈴木「どういう事だ?」 尾賀「叢雲探偵事務所からここに来るまで、まだ昼間なのに殺気だった若い奴が大勢でウロウロしてた。まるで誰かを探しているような雰囲気だったな。」 鈴木「なんだと?そいつらは・・・」
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