#2 案内人 鈴木太一

9/11
前へ
/118ページ
次へ
尾賀「あぁ・・・死霊跋扈で間違いない。 誰かを探しているようだったが、それは間違いなく剣一、お前の事だろう。」 相良「・・・」  昨日の今日とは言うが、山田は何としてでも俺への復讐をしようとしている。  ヤクザの言葉になるが、自分の親である大國からの命令も無視し、それでも弟の仇を取るために俺を狙っている。 鈴木「尾賀、後をつけられてないだろうな?」 尾賀「それは大丈夫だ。 しっかり悟られない様にしたぜ。」 鈴木「本当だろうな?」 尾賀「間違いねぇよ。」 鈴木「・・・」  鈴木さんは、事務所の窓越しに外の様子を確認した。  この事務所の高さは、恐らくビルの3階ぐらいに位置している。その為、外の様子は窓を見下ろせば確認できそうだ。  表通りの様子を確認した鈴木は、窓から離れて椅子に座る。 鈴木「確かに、大丈夫そうだな。」 尾賀「だろ?だけど、問題はどう大國に会うかだ。この状態だと大國が歌舞伎町に入るのも、剣一が出るのも難しいぜ。」 鈴木「あぁ・・・そうだな。」 PRRRR  部屋の中に着信音が鳴り響く、音の出どころは鈴木の携帯電話からだ。 尾賀「大國か?」 鈴木「・・・あぁ。」 相良「・・・」  大國真司  元東誠会6代目会長で、現在は東誠警備社長。  そして俺の両親に関する真実を知っていて、俺が今一番殴りたい人物。  鈴木さんは携帯電話を取り、電話を受ける。 鈴木「鈴木だ・・・」 大國「大國です。相良は無事ですか?」 鈴木「あぁ、無事だ。お前は今何処にいる?」  鈴木さんの声は聞こえるが、大國が何を言っているかは聞き取れない。  どんな声色なのか?どんな口調なのか?  その様子は伺い知ることはできないし、会話の内容もわからない。 大國「今は、お台場のホテルにいます。」 鈴木「お台場だと?こっちには来れるのか?」 大國「そうしたいのですが、今歌舞伎町とその周辺、東誠警備本社に至るまで、死霊跋扈の連中が取り囲んでいる状態です。 自分が歌舞伎町に入れば奴らにすぐ見つかる。」 鈴木「そうか・・・東誠警備も囲まれてるのか?」 大國「はい。 伊邪無さんからの報告だとかなりの数だそうです。歌舞伎町にいる社員からは、歌舞伎町にも死霊跋扈のメンバーが大勢いると同様の報告を受けています。 ただ、奴らは無闇に人に襲いかかったり、東誠警備と事は交えてないようです。恐らくは・・・」 鈴木「相良に集中している、いや、相良しか目がないと捉える方が自然だな。」 大國「そうでしょうね。それにしても、まさかこれ程の人数を揃えれるとは、俺も迂闊でした。」 鈴木「で?どうするんだ?」 大國「歌舞伎町で会うのは無理でしょう。どんな場所への入り方を熟知している山田には、どこで会おうと無駄でしょう。」 鈴木「・・・連れて来い。という事か。」 大國「相良には申し訳ないですが、落ち着いて話をするならそうするしかないと。」 鈴木「わかった。だが、問題がある。」 大國「問題?」 鈴木「今は足がない。俺が乗っている車は東誠警備の中にある。相良を連れて東誠警備行くのは危険だ。」
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加