#1 深田 優子

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深田は、満員電車が嫌いだ。 息苦しい、窮屈である事は勿論、最も嫌いな理由、それは・・・ 深田「・・・」 深田の胸に向けられた嫌な視線を感じる。 電車が揺れる度、視線を向ける者もわざとらしく体を大きく揺らし、深田の胸に接触しようとしてくる。 そう、深田が最も嫌いとするのは痴漢である。 自分でも何故この様に巨大化したかは解らないが、実際Fカップはある。 それが魅力的だと言う人間もいるだろうが、深田からすると邪魔で仕方がない、ちぎって配れるなら、悩める方々に分けて上げたいぐらいだ。 肩は凝るし、変な被害も合うし、過去には本気で邪魔だとも思った。 昔からこういう視線には慣れていたが、やはり嫌いなものは嫌いだ。 そんな状況が圧縮された空間、それが満員列車である。 深田「はぁ・・・」 溜息が自然と漏れる。 その後、片手にあるバックを胸に当て、視線と触れてこようとする人間を拒む。 目的の駅まで、後10分、もう少しの辛抱と自分に言い聞かせる。 深田「ん?」 深田の目に、電車の扉近くにいる一人の女子学生が目に入る。 サラサラとした若々しい黒髪に、茶色いブレザーを羽織った学生というのが分かる。 深田からは、その女子学生の後ろと横顔が微かに確認できる。 女子学生の様子に、深田は違和感を感じる。 頬は青ざめ、唇はガタガタと震えている。 また、電車の揺れとは異なり体が揺さぶられている。 恐怖している。 そう見えた。 深田が女子学生の背後を確認すると、鼻息が荒く、頬を赤く染めるハゲちらかった中年男性がいた。 深田「まさか・・・すいません、ちょっと通ります。」 深田は、人混みをかき分け、その女子学生に近づく。 女子学生も中年男性も深田には気づいていない、そして、腰あたりを確認する。 そこには、男性の片手が女子学生のスカートの中にズッポリと入っていた。 自分がされるならまだ我慢できる。 だが、他人が恐怖している状況は我慢できない。 ガシッ!! 「!!」 深田は男性の手を抑える。 驚きの表情を向ける男性 そして、涙ぐむ女子学生の瞳。 そして、深田はニッコリと笑う。 次の駅 深田「どおおおりゃああああ!!」 叫び声と共に、痴漢をしていた中年男性が電車の外へと投げ飛ばされる。 「イタタ・・・」 中年男性は腰を抑えて痛そうにしている。 その前に仁王立ちの深田 深田「あなた、自分が何をしたか、わかっていますか?」 「おい!!お前!!私は何もしていない、冤罪だ!!」 深田「はぁ?」 「それに投げ飛ばすなんて!!暴行だ!!」 痴漢を働いた男性は、まるで自分が被害者の様に喚き散らかす。
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