#6 埋め合わせが出来ない孤独

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叢雲「ハンニャ・・・マン?」 弥田「か・・・かっこいいじゃねぇか。」 呆れる叢雲と、対照的に男心をくすぐられる弥田。 ハンニャマン「さぁここは危ないでぇー。あーいや、ここは危ない!!はよぉ逃げるんやでぇ!!いやいや、早く逃げるんや!!」 関西弁とヒーローらしい喋り方が混ざり、どこかぎこちない様子に不審感を覚えた叢雲は、このハンニャマンの正体に薄々と勘づいていた。 関西弁にドス、それと戦い方。 叢雲「あんた・・・もしかして伊邪無五郎か?」 ハンニャマン「なっ!?!?何やてえ!!?伊邪無ぁ?そんなん奴は知らん!!ワシは正義の味方!!ハンニャマンや!!」 動揺しているのか、最早ヒーローの言葉ではなく完全に関西弁で、伊邪無五郎でなく、あくまでもハンニャマンと言い切るが、それは叢雲の中では間違いなく伊邪無五郎その人だった。 そういえば・・・ 今日の真昼間の歌舞伎町でトラックの横転事故があり、トラックの運転手は逃げたらしいが、目撃者からの情報では、最近テレビシーエムでよく見る東誠警備の伊邪無部長によく似た人物だったという事だ。 叢雲「・・・」 弥田「イカすぜハンニャマン!!」 それを知ってか知らずか、弥田は終始ヒーローに憧れる少年の様に瞳を輝かせていた。 弥田「ター坊!!ヒーローの正体を聞くなんざどういう教育を受けてんだ!!それはやったら駄目な事ぐらい小一、いや年少さんの男の子ならみんな知ってるぞ!!」 ハンニャマン「そうやそうや!!なんや兄ちゃん!!よーわかっとるやないか!!」 叢雲「知らないし・・・勝手に意気投合すんなよ。」 何故か怒られた事に納得していない叢雲だった。 その時、暴漢達が立ち上がり、青龍刀を片手に臨戦体制になった。 どうやら、ハンニャマンの件で、敵に体制を直させるだけの時間を与えてしまった様だった。 得体は知らない・・・いや大体わかってはいるが、ここで戦力になる人物が参戦しているのはありがたく、伊邪無五郎の強さを身をもって理解している叢雲にとっては、味方になれば心強いと思っていた。 ハンニャマン「よっしゃ!!行くでぇーーーー!!」 弥田「おう!!やってやるぜ!!」 叢雲「・・・しょうがないな・・・いくぜこの野郎!!」 三人は、歌舞伎町を守る為、中国人暴漢の集団へ向かう。 ーーー 横浜市内、某所。 鈴木「・・・何だと・・・歌舞伎町が・・・」 鈴木の元へあるツテから連絡が入り、歌舞伎町が中国人マフィアに襲撃されていると聞かされる。 状況は、圧倒的に不利だという事だった。
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