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叢雲「お前に最初に会った時、お前の言動、そして、その行動に俺は違和感を感じていた。だが、それも全て理解した。」
山田「・・・」
弥田「ター坊?何を?て言うかそろそろ辞めといた方がいいんじゃねぇか?」
叢雲「ごめん弥田さん。これだけはやめられ無い。こいつが何をしようとしてるか考えると、胸糞が悪い。」
弥田「何だよ・・・こいつは何をしようとしてんだよ。」
山田「・・・」
叢雲は理解しても尚、言葉にする事を躊躇う。
それは、怒り、呆れ、自分の今の立場としても、絶対に間違っている事だから、絶対に許す事ができない事だから。
叢雲「お前は・・・相良剣一に殺されたいんだろ。」
弥田「な!?何だと!?」
山田「・・・」
叢雲「また黙りか・・・全くふざけてる。だったら、お前の黙秘は全て肯定と受け取る。
ぼったくりバーで会った時の違和感は二つだ。お前は復讐だと言いながら、剣一君にたったの一発殴られただけで倒れた。強烈な一撃だったのかも知れないが、本来ならそこで逃す事はしない筈だ。お前が本気で剣一君に復讐したいなら、何処までも喰らいつく、それだけの根性はある男だ。
それと、お前が剣一君に殺されたいなら、何故あの場所で親を殺したと言わなかった?そうすれば、彼はまだキレやすく、感情の起伏も激しいから、ここ一番の怒りを買って、殺されそうになった可能性もある。」
弥田「ちょっと待てよ。それ矛盾してるぞ。殺されたいのか、殺されたく無いのかどっちだよ。」
叢雲「あぁ矛盾しているんだよ。こいつは、覚悟をしているつもりでも、わかっているつもりでも、自分で罰を与えようとしても、こいつの中にはまだ善意がある。違うか?」
山田「・・・」
叢雲「・・・まぁいい。お前は、弟の復讐の為に剣一君にも同じ身内を殺される痛みを与えたかった。だが、後でこの事を後悔していた。
少なくとも、お前には善意や筋がある。ばったくりバーでのお前は少なくともそういう男だった。
だが、正しい罰を受ける事ができない。
それは、大國への恩義や約束があったのかも知れない、だから自分で罰を決めた。それが相良剣一に殺される事だった。執拗に追い回し、殺されるチャンスを与えていたが。彼は、お前の想像していた様な人間では無かったんだろう。」
山田「・・・」
叢雲「剣一君は、お前にとって優しすぎんたんだ。最後にお前の事を受け入れてた。復讐される事も全て自分で受け止めた。」
山田「・・・」
叢雲「そんな男に、また殺人という罪を着せようとしている。それも自分勝手な理由でだ。だから、お前は、自分のやっている事がわからなくなった。」
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